第017号 経営幹部に求められる価値観の同一化

経営者の価値観に基づいた一貫した行動というものは、自社の社風に与える影響は非常に大きいものです。 たとえば、「ピンチはチャンス」という価値観を持った経営者は、この不況期という時代を非常に楽しんで 経営しておられます、よって、積極性があり、向上心の高い、プラス思考の社員が非常に多く集まっていま す。ところが、「出る杭は打たれる」という価値観を持った経営者はこの不況期という時代おいても業界意 識が強く、横並び意識が強いため、そこで働く社員は非常に消極的で、マイナス思考の社員が多く集まって います。
つきましては、今回は、経営者の側近である経営幹部(または、管理者)は経営者が大事にする価値観と どのようにつきあうことで、企業発展に寄与できるかを検討してみたいと思います。
まず、経営者は、自分自身が大事にしてきた価値観と会社が大事にしていく価値観とは、同一化されてい るはずです。たとえば、経営者自身の大事にしている価値観が「努力」であるならば、会社が大事にすべき 価値観は「努力」ということになるはずです。もしそうでないとしたらどのような現象が起こりうるかとい えば、経営者自身の価値観が「努力」であるにもかかわらず、会社がそうでないとしたら、「努力」という 価値観が乏しい社員に対して、会社としては強くその価値観を要求することができず、経営者自身がストレ スをため、組織に混乱を巻き起こすことがよく見受けることがあります。そうすると社員が経営者に対して 強い不信感を持ち出し、会社の理念の浸透に大きな障害を作り出しています。
一方、経営者の価値観と会社の価値観が同じであれば、経営者の言動や振る舞いが会社の価値観とマッチ ングしていますので、その価値観を共有できる社員が会社に残り、その価値観を共有できない社員は会社を 去っていくことになるのです。では、経営者の価値観と会社の価値観が同じであれば、組織運営はスムーズ に運ぶかといえば、必ずしもそういうわけにはいきません。確かに社員数が少ない組織であれば、当面それ で十分組織運営は可能でしょうが、社員数が増えていき管理業務が非常に重要になってきたときに管理者が 必要になってきます。その時に、幹部や管理者自身が会社の価値観と同一化された自分自身の価値観を持た なければ組織運営はうまくいかないというのも事実ではなかろうかと思います。経営者は、自分自身の価値 観と会社の価値観を同一化することは容易にできます、なぜならば、会社においては絶対権限者であるから です。ところが、幹部や中間管理者は経営者のように絶対権限者ではありません。一部の権限を委譲せれて いるだけです。それゆえに、組織がスムーズに成長発展できるかどうかは、幹部や管理者が自分自身の価値 観を会社の大事にする価値観に「同一化」できるかどうか大きなポイントになるのではないかと思います。 「同一化」できる幹部や管理者がたくさんいる組織は、非常に強い組織であることは、間違いありません。 その「同一化」図るにはどうしたらよいか?
①可能思考であること
②経営者を知ること
③経営者の人生を知ること
④経営者にエンパシー(感情移入)すること
以上の4点を実行するうえで、重要なことは2つあります、一つは「可能思考」いわゆるあらゆる現象に対 しての自動思考(考え方)が積極的、肯定的、協調的、プラス思考と思考を持つことが最低条件です。 ここがうまくいっていない「不可能思考」の幹部ですとその部下も「不可能思考」をもつことになる可能性が 大きいものです。
2つ目は「対話」を持つことです。経営者は、幹部とつねに対話をする時間をたくさん作る努力を怠らない ことが価値観を同一化した幹部育成のポイントであることを強く認識していただきたい思います。
さあ、今一度、経営幹部の価値観を確認しあって見ましょう。

お問い合わせ

ご相談はお気軽にご連絡ください。 メールは24時間365日受付しております。