第018号 キャッシュフローは運転資本の改善から
現金商売で日銭が入る企業の経営者の方がよく次のようなことを言われます。 「うちは現金商売だから資金繰りは大丈夫」もっとも資金繰り計画を綿密にたて、 日々管理をされていれば確かにそうかもしれません。 ただ、それは運転資本構造が卸売業や建設業に比べ良いので営業キャッシュフローが 残るだけで、大きな設備投資や借入金の返済がある場合はまかないきれないことがよくあります。 設備投資の採算計算や借入金の返済計画をしっかりしないと油断禁物です。
さて、前述の運転資本の構造が悪い業種ではまず運転資本の構造を改善しなければなりません。 それは営業キャッシュフローから設備投資や借入金の返済をしなければならないからです。 運転資本は次の計算で求めることが出来ます
運転資本=売掛債権+在庫-買掛債務
売掛債権と在庫はできるだけ抑えることができればその分 営業キャッシュフローのプラスになります。
これらは売掛債権の回転日数や在庫の回転日数を求めるとよくわかります。
つまり売上を上げてもこれらが増えない経営をすることが大切です。
しかし、たとえば売掛債権の回転日数が今60日でこれを短くするといっても「ぴん」ときません。 そこで次のようなシュミレーションをしてみると良いでしょう。
サイト | 構成比率 | 回転日数 | |
現金 | 0日 | 10% | 0日 |
振込み | 30日 | 20% | 6日 |
手形A | 60日 | 30% | 18日 |
手形B | 90日 | 40% | 36日 |
全社回転日数60日
現金から、手形Bまでのそれぞれに該当する企業群はもうおわかりだと思いますので、 たとえば手形Aの企業群の甲社のサイトを現金にかえると手形Aの構成比率が20%、 現金が20%に変わるとすると回転日数は次のようになります。全社回転日数60日
サイト | 構成比率 | 回転日数 | |
現金 | 0日 | 20% | 0日 |
振込み | 30日 | 20% | 6日 |
手形A | 60日 | 20% | 12日 |
手形B | 90日 | 40% | 36日 |
全社回転日数54日
つまり、6日短縮できることになります。 もちろん新規の好条件の取引先にシフトしていき回転日数を短縮することもできます。
このように、買掛債務も同じようにシュミレーションできますが、 これを無理に伸張すると取引関係に支障が生じたり手形不渡りのリスクを背負うことにもなりますので、 逆に現金払いに変えてでも割引を受ける等相対的な支出を抑えることも大切です。
なお、在庫については回転日数がおよそその企業の適正在庫保有期間ですのでこれに照らし合わせて 仕入れ等の管理を進めることをお勧めします。
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