第026号 今一度キャッシュフロー経営の徹底を
キャッシュフロー経営の推進と言い続けてかなりの歳月が経ちましたが、 いまだ中小企業にとっては実践されていないところが多いようです。 最近コンサル先で次のような会話があり愕然としました。2件ご紹介しましょう。
まず1件目ですが、在庫が非常に多く膨れ上がっていたので、社長に問いかけました。
私「この在庫のうち、不良化、陳腐化しているデッドストックはどれぐらいありますか?」
社長「7から8割デッドストックです」
私「え、何故処分しないのですか?」
社長「銀行対策で在庫を残しておいたほうが利益が出るので」
皆さんはどうお思いでしょうか。
確かに赤字の会社ですから、損失を出したくないのはわかります。 でも、在庫を残しておいても資金は入ってこないどころか、保管する為の経費までかさんでいきます。 銀行もこの決算書を見ても良い評価は決してしません。
この社長の考えは損益の体裁ばかり気にしてキャッシュフローをまったく無視しています。 できれば在庫を持たない経営がキャッシュフロー経営なのです。
2件目は黒字企業での話ですが、およそ次の通りです。
社長「先生、銀行が借りてくれといってきたので、借入をしました」
私「御社なんか、借入を増やす必要ないでしょう」
社長「でも、付き合いがありますから、いざといった時に貸してもらえないと困るので」
私「で、そのお金どうしました?」
社長「特に使途がないので預金しています」
これなどは、笑い話の世界です。
金利2%負担して限りなく0に近い金利の預金に運用しているのですから。
いざといった時ほど銀行は融資してくれないものです。私は決して借入を責めているのではありません。 その資金をなぜうまくリターンの多いものに運用して回転率を高めていこうとしないのかなのです。
これらはほんの一部の事例ですが、いずれにせよ、 キャッシュフローという視点が見えてないというのが実感です。 もう一度自社の決算書をよく読み、資金の調達と運用のバランスがとれているかよく吟味してみてください。
まだまだ、企業倒産は増えていきます。末期症状になってからでは手遅れです。 早く自社の現状に気づき手を打ってください。
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