第050号 人事評価のあり方について
今コンサルティングに入っている企業さん12社のうち4社で人事評価システムの構築を行っています。この仕事をやり始めてからつくづく人を評価することの難しさを感じます。多くの企業が行っている主な評価には、協調性や積極性など様々ありますが、どこまで適性に評価できているかと言うと甚だ疑問に感じます。人はスキーマ(他人に対する絶対的な思いこみのこと)を必ず持っています。だから仕事ができるというスキーマを持った人に対しては評価は高くなりますが、逆に仕事ができないというスキーマを持った人の評価は低くなってしまいます。これでは、常に評価が偏り、適正な評価が行えなくなります。それではどうすれば良いのでしょうか。
それはスキーマを完全に払拭することです。そして、社員自らがセルフマネジメントできるようにすることです。コンピテンシーと言う言葉があります。これは、いろいろな捉え方がありますが、直訳すると「能力」と言う意味です。能力と言えば、知識、経験、イメージ、思考力、やる気、などあり、これらを持ち備えていることは大切なのですが、肝心なのはこれら能力をどう実践し、高い成果を生み出すことができるということなのです。つまりこの行動能力が「コンピテンシー」と言えます。高い成果を生み出せる人は、もう一度同じ結果を生み出すことができるという再現性のある行動が出来る人です。コンピテンシーのレベルには、5段階あります。
レベル1 言われたらできる。追いこまれたらできる
レベル2 言われなくてもできる。
レベル3 数ある判断基準の中で、最適と思われるものを選択でき、行動し、成果を生み出せる人
レベル4 独自の工夫を取り入れ、状況を変容させることが出来る人
レベル5 抜本的にパラダイムの転換を図れる人(新しい次元のものを生み出せる)
たいていの企業では、レベル2あたりで満足しています。しかし、我々が目指さなければならないのは、レベル3以上です(レベル5は発明家タイプなのでほとんど存在しないので別として)。つまり、社員自らがいつ、どんな風に独自の工夫を取り入れ、どう実践することにより、どのように状況を変えることができ、高い成果を生み出すことができたのかということを上司に申告できるような仕事をすることが大切なのです。このようにセルフマネジメントすることで、スキーマを持った評価がなくなり、適正な評価が実施できるようになるのです。
つまり、どういう行動をし、どういう成果を生み出したのかが、評価のポイントになるわけです。従来の評価基準をそのまま残し、このコンピテンシーの基準を付加することにより更に具体性のある評価ができていきます。
レベル4は、そんなにいつもできるものではありませんが、年に一度でもいいので、皆さんも得意のジャンルで挑戦されてみてはいかがでしょうか。少なくとも、そういう意識で仕事されるときっといい成果が生み出せると思います。
経営コンサルティング部門
財務担当研究員 村尾 謙次
お問い合わせ
ご相談はお気軽にご連絡ください。 メールは24時間365日受付しております。