第056号 突然の資金ショートを起こさないために (2)

企業経営にあたり「“資金ショート”を起こしてはならない」ということは、言うまでもありません。しかし、一度陥ってしまうとなかなか抜け出せないのがこの“資金ショート”です。資金ショートを起こさないためにはどうすればよいか、5回にわたり連載します。
仕事をしているのに支払いの方が多く、どんどん赤字が膨らんでいく。そんな赤字体質の会社はビジネスモデルそのものが成り立っていないので論外ですが、実行予算書を突きあわせるとかろうじて赤字ではないはずなのに、なぜかときどき資金が足りなくなる。これが資金ショート体質です。
この体質に陥ると、資金繰りに追われる羽目になります。現預金もなく、固定資産もすぐには売却できない。そうすると銀行から借金するしかないわけです。すると資金ショートの頻度が増していき、さらに資金繰りに追われるようになる。こんな図式にはまりこんでいる経営者が後を絶ちません。
資金繰りの苦しみから解放されるために考えるべきことは「キャッシュフロー」に尽きます。なかでも事業活動で稼ぎ出した「営業キャッシュフロー」が重要です。最低でも前もって決まっている年間の借入金返済額を、この「営業キャッシュフロー」でカバーできているかどうかを確認しなければなりません。
しかしながら、借入金の年間返済総額をお分かりでない経営者の方が多いようです。それは、「リスケジュール(金融機関借入返済の繰り延べ)」を求める会社が多いことからも分かります。
毎月支払いの事務手続きをしている総務社員は、借入金の返済額を知っているが、経営者は知らないといった状況をたびたび目にします。これは実行予算書や原価報告書、あるいは決算書のP/Lを見ても、どこにも借入金の返済額が出てこないからです。
銀行借入も返済も、現預金と借入金との仕訳ですからB/Sにしか現れません。工事原価報告書の利益の集計額としての粗利益あるいは売上と総費用の差としての営業利益には、借入金の返済額は含まれていないのです。
しかし実際には、現預金は借入金返済取引(仕訳)によって減っています。このメカニズムをよく理解することが大切です。

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