第062号 突然の資金ショートを起こさないために(4)

企業経営にあたり「“資金ショート”を起こしてはならない」ということは、言うまでもありません。しかし、一度陥ってしまうとなかなか抜け出せないのがこの“資金ショート”です。資金ショートを起こさないためにはどうすればよいか、5回にわたり連載します。
「10年以内に返せないのなら融資はできない」と金融機関が口を揃えるこの時代に、銀行と上手に付き合うためには、自社の格付けを上げることが第一です。
都銀も地銀も、何らかの独自のスコアリングシートで企業の格付けを行っています。配点項目を見ると、いずれもキャッシュフローのウエイトが高く、銀行はこの項目から会社の返済能力を判断していることが分かります。この点数が低いほどリスク料として金利が上がっていきます。世の中には約8%の金利で借りている会社さえあります。
銀行からお金を借りる際に、必ずチェックされるのは経営計画書の有無です。それもただあればよいのではなく、今後いかに業績の向上や改善を行っていくかという、具体的な方策が示された計画が重視されます。会社として必ず実践できる項目が具体的に落とし込まれていればこそ銀行から信頼され、融資獲得に結びつくのです。またそのような計画を作り、それにもとづいて行動することにより、実際に自社の財務体質の改善につながっていくのです。
しかし、銀行がいくらお金を貸してくれるからといっても、自己資金と借入のバランスは常にチェックしておかなくてはいけません。ある会社は8億の借金をして8億の現預金を持っています。その会社の経営者は「お金はいくら持っていても安心感がある」と語りますが、金利3%として毎年の業績を2,400万円も落としていることが分かっているのか心配になります。今、預金をしていても利回りはほとんどありません。必要以上の資金がキャッシュフローを生むことはないのです。全業種の黒字企業の平均現預金保有高は月商の1.72倍です。これが健全かといえばあくまでも目安にすぎませんが、月商の4ヵ月分も5ヵ月分もの資金を保有することは不要です。何かあったときに即資金ショートしてしまうことがない金額を確保し、あとの現預金は経営計画書や中期計画書のなかに、経営効率が上がるように盛り込んでいくことが必要です。

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