第064号 ダイエー創業者 中内功氏

ダイエー創業者である中内氏が、昨年9月19日に永眠されてから約4ヶ月が過ぎました。現在のダイエーは、新社長のもと復活に向けて奮闘されておられますが、「流通革命の旗手」と謳われた創業者である中内氏の評価が低くなってしまっているようです。特に私の場合、ダイエーの第1号店(1957年)である大阪の千林店に、小さい頃よく買い物に行った経験があるだけに、非常に残念に思います。
当時のダイエーの第1号店は、とにかく買い物客が多くて、びっくりしたものです。また、それまでは公設市場での買い物が主体でしたから、スーパーという業態には、驚きと新鮮さを感じたものでした。「とにかく、安い!」でした。それもそのはずです。ダイエーさんのモットー(理念)が「良い品をどんどん安く」でしたから。中内さんの哲学が偲ばれます。
時代は、高度成長期と符合して、どんどん成長し、72年には、天下の三越百貨店を売上高で抜き去り、小売業日本一を達成したのです。なぜ、ここまで成長できたのでしょうか。それは、時代とともに消費者の声、ニーズに的確に応えてきたからに他なりません。経営者の哲学と市場や消費者のニーズがうまくかみ合ってきたのです。ところが、最近のダイエーさんは、皆さんご存知のように、産業再生機構にお世話になる事態です。実質は、経営破綻です。なぜ、あれだけ消費者の味方であった企業、経営者が消費者から離れて行くのでしょうか。今一度、我々も、「他山の石」として、じっくりと考えて見ましょう。中内氏の最後の言葉は、「時代は変わった。顧客が見えない」ということだったと記憶しております。非常に重い言葉では、ないでしょうか。

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