第065号 突然の資金ショートを起こさないために(5)
新規事業に投資する際の、資金の調達方法や投資額の許容範囲はどうやって決めたらよいのでしょうか?
投資額の許容範囲は事業の内容にもよりますが、営業キャッシュフローの範疇であればリスクは全くありません。借入金でまかなうのであれば、既存の借り入れに新たな返済額が乗るわけですから、目標とするキャッシュフロー額が変わってきます。それに耐えうるだけの投資かどうかを判断することが大切です。
ある新規事業を立ち上げるとします。その事業に必要な1億円の資産の耐用年数が10年だった場合、その事業が10年を超えないと回収できないものならば、会社は火の車になるのは必至です。投資回収期間の目安は、耐用年数の1/2~1/3と言われます。その期間で回収できるほどのキャッシュフローが得られる事業であるのなら問題はありません。
設備投資をすると投資額の2~3割は固定費が増えるといわれています、人件費・保険料・修繕費・固定資産税・減価償却費など、固定費が増えると損益分岐点が上がってしまいます。例えば1億円の投資で固定費が2千万円増え、その事業の粗利率が30%とすれば、2千万円÷粗利率30%分の売上高がなければ利益が残らないことになります。
売り上げをアップするだけの効果的な投資かどうかを試算し、早期に回収できるかどうかも確かめる。これが皆さんにわかりやすく、感覚としてつかみやすい投資範囲であると思います。
これまで5回にわたりお伝えしてきましたポイントを活用し、経営管理をしていけば、会社の財務体質は必ず良くなります。
多くの相談者を抱え、絶えず経営の現場を見ている私からすると、経営者の多くはまだまだ危機感がないと訴えたいところです。過去の慣習に乗っかっているようではこれから先を生き残ることはできません。このことを理解している経営者は多忙な毎日から多くの時間を割いて、熱心に勉強しています。
時間は決して取り戻せません。中途半端に粉飾された数字は全部見抜かれます。過去は過去、自社の数字を一刻も早く正常なものに戻し、今後の経営基盤構築のために時間を使ってください。経営体質の改善、経営理念の浸透、価直観の共有、財務、銀行との交渉など、これらはすべて連動しています。数字がどんなに良くてもバランスを失えば会社経営はできない、このことを肝に銘じてもらいたいと思います。
寝る時間がないほど、経営者にはやるべきことが山積みしているのです。
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