第072号 資産の圧縮が自己資本比率を高める
前回に続き、私の指導先の事例をご紹介します。
今回は自己資本比率を改善した、飲食業のP社についてです。
上記の表は、P社の4期と5期の貸借対照表(一部)です。ここ数年は赤字続きで、4期の期末には利益剰余金がマイナスの状況でした。自己資本比率の業界平均値(黒字企業)は25.2%ですから、4期の4.2%はかなり低い水準です。
この指数を自社の課題と捉え、改善に取り組みました。
自己資本比率を高めるためには、
①自己資本を大きくする、
②総資本(総資産)を圧縮する、
の2つの方法があります。
P社では②に着目し、貸借対照表の資産の部を見ながら、保有している資産の中で圧縮できるものはないか、熟慮を重ねました。その結果、不採算店舗の閉鎖を実行し、物件を売却。
その代金10,000千円を長期借入金の返済にあて、総資本を約17%圧縮させました。これだけでも、自己資本比率は大きく高まりましたが、更に店舗閉鎖による固定費の削減と、経営資源を残った2店舗に集中させたことで収益性も向上し、①の自己資本の増加に繋がりました。
結果として5期には、自己資本比率を前期より9%向上させた13.2%を達成したのです。
P社は「持たざる経営」に近づけることで、安全性と共に収益性も向上させ、大きな業績アップを実現されました。
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