第076号 安易な条件変更は企業生命を短くさせる

景気が上向きと言われますが、経営相談を受ける企業の中にはまだまだ資金繰りに追われている所が多いのが現実です。
資金がないからと支払いを安易に止めるケースを良く見かけます。
財務体質が悪化してくると、金融機関の格付けが低下し融資を受けられなくなる為、思うように支出が出来なくなります。
その為仕方なく仕入業者の買掛金の支払いを猶予してもらったりするケースも良く見かけますが、これでは仕入業者の信用が得られなくなり、思うように棚卸資産を調達出来なくなったりします。
いくら支払いを待ってもらっても支払う原資がない訳ですから必然的にどこかで行き詰まってしまいます。
これと同様に金融機関の借入金の元金返済を待ってもらう(リスケジューリングといいます)条件変更をされる企業が非常に多いのも現実です。
これも安易に実行すると上記の仕入業者と同様、返済原資がない為延命しているに過ぎません。
今回はこのポイントについてお話します。
まず、自社が営業キャッシュフローで借入金の返済が出来ているかどうかをチェックします。
税引後利益(経常利益のおよそ半分)に減価償却費を足せば営業キャッシュフローは計算できます。
これと長期借入金の年間返済額(元金のみ)とを比較し、後者の方が大きければその差額分だけ返済原資が足りないことになります。言いかえれば営業キャッシュフロー分だけしか返済出来ません。
金融機関に条件変更を申し出る前に、まずいくらなら返済出来るのかを明確にしなければなりません。
あとはこの返済不足分を今後どうして返済していくのかを具体的に経営計画に整理しましょう。
また、条件変更を実行すると新しく融資を受けることがほぼできなくなります。
そうすると手許の現金預金が運転資金以上ないと季節的に資金ショートし倒産ということになってしまいます。
従って少なくとも元金返済を猶予させた時の見積資金繰り表を作成し、明確な資金の動きを確認しておかなければなりません。
見積資金繰り表は最低でも向こう半年間分を必要とします。
当然日単位の入金と支出を予測し作成しなければなりません。
これで資金が回ることが確認できない以上、条件変更は絶対にしてはいけません。
大切な事は資金を回すことではなく、回す事が出来る企業に再生していく事です。
経営改善をしなければ永遠に資金繰り地獄からは脱出出来ません。
資金繰りは自覚症状が出て来た時はすでに手遅れのケースがあります。身動きが取れなくなる前に危機感を持って行動しましょう。
また、大きな業績向上を図る為には異質化戦略、つまりオンリーワン企業にならなくてはなりません。
日頃から月刊「理念と経営」のオンリーワン記事などに目を通され、より多くの情報を吸収しておかれる事をお薦めします。
そして、今回の内容を読まれて自社がこのケースに該当すると感じられた方は、早急に業績アップ研修やビジネススクールに参加され、財務体質の改善を図って下さい。

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