第078号 ジェットコースターの脱線事故に思う

皆様、企業経営は順調に進んでいるでしょうか。さて今回は、楽しいはずのゴールデンウィークに、しかも、楽しいはずの遊園地で起こった事故を取り上げてみたいと思います。皆様もニュース等でご存知だと思いますが、大阪府吹田市にあるエキスポランドの、風神雷神Ⅱというジェットコースターでその事故は起こりました。死者も出た悲惨な事故でしたが、本当に未然に防ぐことはできなかったのでしょうか。甚だ疑問が残ります。
直接的な原因は、ジェットコースターの車軸の金属疲労とのことですが、もしそうであるなら、金属疲労を起こすであろう時期は、事前にわかっているでしょうし、また、日本工業規格(JIS)では、車軸の探傷検査が義務づけられていることから、当然、定期点検がなされているはずなのです。しかし、現実は、違っていたのです。
運営会社であるエキスポランドは、表面的な検査しかせず、しかも、その結果を吹田市には異常なしと報告していたのです。さらに、エキスポランドの社長の記者会見では、『「定期点検」をゴールデンウィーク明けにやろうと思っていた』信じられないコメントです。もうおわかりだと思いますが、本質的な原因は、当事者すべてが、危機感なく、責任転嫁をし続けたことではないでしょうか。運営会社は、点検をしているつもり。遊戯メーカーは、まだ金属疲労はないだろうという甘い見通し。吹田市は、報告を鵜呑み。一体全体、だれが責任者なのでしょうか。運営会社には運営責任が、製造業者には製造物責任(PL法)が、地方自治体には安全管理責任が、あるはずです。もし、誰かが気づけば、手が打てたはずです。その代償が、尊い命なのです。本当に残念でなりません。
これも、氷山の一角です。どうか、皆様も今一度、この事故を『他山の石』として、自社を見直して頂きたいと切に感じる次第です。企業は、利益を追求することが目的ではなく、社会に貢献する存在であり、社会的責任を果たすことが使命のはずです。皆様、今一度、経営の原点に、初心に戻ってみましょう。

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