第089号 アイデンティティの確立と、そのなりたち
皆様、毎日を生き生きと生きることができておられますか。中国四川省の大地震・ミャンマーのサイクロンなど世界的に大変な被害がでました。地球環境汚染による温暖化の問題や、ガソリンや穀物・食料品・鮮魚(特にマグロ)などの値上がりなど厳しい経営環境の中、先行き不安な情報が山積みです。このようなときこそ精神力を強くもって逞しく生きていきたいものです。
アイデンティティという言葉があります。心理学用語で「自己同一性」と訳されています。「主体性」「自分に間違いない」という意味もあり、現在の自分を「大人として評価し自覚する意識の度合い」ということができます。 また、反対にアイデンティティ・クライシス「自己同一性の喪失」という用語もあります。「自分が何者であるかを自覚できない」・「自分には社会人として生きていく資格があるのか、能力があるのか」、自己への疑問が生じて心理が危険な状態に陥ることを言います。この状態が長く続くと、日常生活に対する意識が不確実になり、不安やうつ病や自殺の原因になることがあるのです。今回から何回かに分けて、この原因にふれてみたいと思います。
私たちが誕生した瞬間からしばらくの間は「自分は何者か」全く意識はありません。「私は誰?」という段階です。このころは自分の生存欲求を満たす方法をすべて(大半を)母親に依存する状態です。その方法として「泣く」ことで知らせます。養育者としての母親はその都度、授乳したり・抱いてあやしてくれたり・おしめを替えたりと愛情をもって深く関わってくれます。やがて母親への愛着が高まり、このころから生来の自発性や好奇心により「私はあなた」の意識が芽生えます。このときの「あなた」は興味一杯のお母さんです。故に母親は私たちが「人類を意識する根源」となります。この意識のレベルは自己の体験が安心・満足できるものとして根付くと「自己肯定感情」となり自信につながり、他者への信頼感として後々成人してからの生き方にまで影響します。もし不安になる体験が多くなれば、自己への信頼感を損ねてしまい不信感として根付くことでしょう。つまり、自分の感情の体験の上に立って「他者への評価物差し」とします。もし、自分への肯定度が低ければ、他者への評価も下がることでしょう。つまり、アイデンティティのはじまりは幼児期の母親と子供の間の絆の形成によってはじまるわけです。次回を楽しみにお待ちください。
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