第102号 「アイデンティティの確立とその成り立ち」第5回

四回に渡って「自己認識確立の要素」についてお話をしてまいりました。では出来上がった私たちの基本的な「自己認識」は、どんな生き方の要素を持っているのでしょうか。今回から、交流分析の創始者といわれるエリック・バーン博士の理論に従って、人間の心のあり方、つまり性格といわれる「自我」の働きを検証してみたいと思います。まず今回は大脳生理学の中で、個性を活用する「知性」として表現されていますのでご紹介いたします。次のようなものです。
1. 言語的知性(それぞれが使う言葉の集まり・言葉の数を語彙(ごい)と言いますが、言語が豊富な人はそれだけ知性が高いと言えます)
2. 論理・数学的知性(ある因果関係に作用する法則を科学したり、理論的方法で理解することができ、文章の流れをつくり、意味を説明したり、数字の量などを説明し、計算し、操作する能力など)
3. (目に見える空間の存在を正しく理解し、日常生活に活用していく能力ですが、芸術・化学・建築・絵画・彫刻・航海術・飛行術など、多岐にわたります。方向や時間の理解などもこの能力)
4. 音楽的知性(音楽で考える能力とも言え、音のあらゆるパターンを聞き、認識し、覚え、音符を読み取り、音階として理解したり、楽器を演奏したり、歌で表現する能力)
5. 身体運動的知性(人間の活動の基礎となる身体を動かせる能力。身体機能として記憶され、バランスよく自在にコントロールできる能力)
6. 情緒的知性(感情的記憶による私的自己認識や、対人関係に対する認識に影響を及ぼす。不満や不安感情が強い時、ストレスに過剰な反応を起こし、適切な自己コントロールができないこともある)
7. 社会的知性(お互いの枠を超えて相互に関係し合うとき、それがどんな状態になるかを理解し、結果を予測し、自他共に利益を得るためにどうしたらよいかを捉え、その環境にうまく適応していく能力)
8. 超知性(自我統合)(俗に頭がいいと言われる知性。自分の持つすべての知性を統合し、活用できる能力。物事の関連性を適切に捉え、理解し、これまで記憶した、体験、経験、学問、知識などを活用し、自己をコントロールすることができる。冷静なほど活用が適切。
◆交流分析ではこのような意識の違い、知性の違い、特に潜在的な情緒的知性の能力は超知性の働きまで左右することを、心理的ポジションとして理論付けています。特に人生早期の母親との体験を通して、自己に対する認識度の肯定性・否定性・他者に対する肯定性・否定性をフランクリン・アーンストは4つの心構えがあるとして、これをOK牧場と名づけました。・・次回に続きます。

お問い合わせ

ご相談はお気軽にご連絡ください。 メールは24時間365日受付しております。