第109号 「表象と本質」を見極めよ

皆様、お元気ですか。まだまだ厳しい経営環境が続いていますが、道は必ず開けます。もし、道に迷ったときは、原点に戻りましょう。原点とは、基本に返ることです。そこで今回は、「表象と本質」というテーマを考えてみましょう。
よく、同じ問題に直面したり、同じ失敗を重ねたりしたことはありませんか。この原因は何だと思われますか。表面的・表象的な原因ばかりに目が行き過ぎ、表面的な対応で終わっているからです。やはり、根本的・本質的な原因まで深く掘り下げないと、本当の意味での問題解決はできなくなるでしょう。これは、商品開発の場面でも同じことが言えるでしょう。
ここで、「表象と本質」を考える上で、わかりやすい事例をお話しましょう。それは、「角砂糖」という商品誕生のお話です。実は、砂糖は空気中に長い間放っておくと、水分を吸って固まってしまうという本質があるのです。これは料理などの時には非常に不便であり、当時の人々は、このように砂糖が固まることは砂糖の欠点であり、不都合であると考えていました。しかし、実はこれは表象的な捉え方であり、一面だけの見方なのです。このとき、イギリスのヘンリー・テイトという人物が、本来の砂糖の特性・本質は固まることなのだから何とかこの本質を活かせないものか、砂糖を固まらせた状態でこれを何かに利用できないものか、と考えたのです。そして誕生したのが、皆様よくご存知の、コーヒーや紅茶を飲む時によく使われる「角砂糖」なのです。料理面では不便でも、コーヒーなどを飲む時には便利なものに変わるのです。同じ砂糖でも人間の考え方・見方によって、表象的に考えるのか、本質的に考えるかによって、結果は全然違ってきます。つまり、人間が考える不都合と砂糖自身の本質は全くの別物なのです。どうか皆様ももう一度、表象的に考えていないか、しっかりと本質まで考えてみてください。

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