第114号 アイデンティティーの成り立ち「第8回」

前回では、自己認識の基本となる感情の成り立ちについてお伝えしました。引き続き「感情の働き」についてお話を進めてみましょう。
イギリスの作家・詩人であるジェームス・アレンは「人間は思いの主人公・人格の制作者・環境と運命の設計者である」という言葉を残しています。 私たちは何事も・・あそこへ行きたい・・あれが欲しい・・こうしてみたい・など「欲求(思い)」から「行動」します。行動の前には「どうすればいいか」と「考え」ますが、基本は「快適な条件か」「不快な条件か」を、五感という知覚(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)により察知することです。快適であれば「喜びの感情」が強くなり、FC(フリーチャイルド)が働き、前向きな気持ちで明るく朗らかな自己が表現されることになります。
しかし、そう快適な状況ばかりではありません。特に幼少期は好奇心も旺盛ですから、感じたまま無条件に欲求に従って行動します。世間的な常識や規範の働かない私たちはすべてが受け入れられるものと思ってしまいますが、時には親や周りの大人には迷惑で受け入れられないこともあり「わがまま」と映ることもありますから、当然「躾や教育」の対象となります。「大きな声」で「怒鳴られる」「叱られる」ときに「叩かれる」などの行為を受けることになります。認知心理学では幼少期の大人の姿や、声などは「実際の二倍半」に見える・感じるとの理論がありますが、子供には大きな「脅威」となり、心身に緊張がはしり、強いストレスとなることは容易に想像できます。TA(交流分析)ではこれらの行為が「ディスカウント(人間性を無視・軽視・値引き)認められない行為」として心に残り「悲しみ・怒り」の感情回路に取り込まれることになります。このような体験が過度に行われるとき、自然に「防衛本能」が働き「二次的」に新たな自我状態を形成していくことになります。
今回は基本的な喜怒哀楽を表現する感情についてお話をさせて頂きましょう。
◆AC(アダプテッドチャイルド)・・両親や周りの大人の躾や教育に順応して、自分の本心を抑圧した心であり、悲しみの感情回路に取り込まれ「自己保全」の方法として、人格の一環をなす自我に発展していきます。
★長所・・素直さ・誠実さ・協調性・辛抱強さ・穏やかさ・謙虚さ・感謝する 控え目・大人しい・・などの表現力を有することになります。
短所・・本心が出せない・何でも我慢してしまう・遠慮ぎみ・自分を軽く見る・劣等感・罪悪感・諦めやすい・など、自己を抑圧する傾向になります。

お問い合わせ

ご相談はお気軽にご連絡ください。 メールは24時間365日受付しております。