第130号 お客様はどこにいて、何を買うのか?

前回125号でP.Fドラッガー著「マネジメント」から「企業の目的を定義するとき、出発点はひとつしかない。それは顧客である。」ということをお伝えさせていただきました。
このことからもご理解いただけるように企業経営において、その根幹となるものは「顧客」であり「顧客志向」経営であることに異を唱える方はいらっしゃらないと思います。
それでは、我々はその大切な顧客について、どこまできちんと理解しているでしょうか?
そのお客様はどこにいて、あなたの会社に何を求めて購入されているのでしょうか?
マネジメントP24 「顧客はどこにいるのか、何を買うのか」 に以下のような文章があります。
「顧客はどこにいるのか」を問うことも重要である。1920年代にシアーズ社が成功した秘密の一つは、顧客がそれまでとは違う場所にいることを発見したことだった。農民は自動車を持ち、街で買い物をするようになっていた。」
今やアメリカ全州に展開するデパート・シアーズですが、この会社の成功要因として、それまで主たる顧客であった農民が自動車を持ち、街まで買い物に出掛けているということを発見したことだったのです。
この発見により、今全米各地で見られるシアーズを基幹店とするショッピングモール(シアーズと専門店のショッピングアーケード、日本でもイオンモールが展開しています)が急速に拡大していったのです。
また、住生活例会や新春セミナーで講演いただいたアンシン建設工業・原田社長は「お客様は隣にいる。」と断言されていますが、超地域密着営業をされている原田社長らしい深い言葉だと思います。
続いて、顧客は何を買うのかということですが、こちらも「マネジメント」P24に以下のような記載があります。
「キャデラックをつくっている人達は、自分達は自動車をつくっており、事業の名前はGMのキャデラック事業部であると答える。だがはたして、キャデラックの新車に大枚のドルを支払う者は、輸送手段としての車を買っているのか、それともステータスシンボルを買っているのか。
1930年代の大恐慌のころ、修理工からスタートしてキャデラック事業部の経営を任されることにいたったドイツ生まれのニコラス・ドレイシュッタットは「われわれの競争相手はダイヤモンドやミンクのコートだ。顧客が購入するのは、輸送手段ではなくステータスだ。」と言った。この答えが破産寸前のキャデラックを救った。わずか2・3年のうちに、あの大恐慌時にもかかわらず、キャデラックは成長事業へと変身した。」
キャデラック=ステータスシンボル と捉えたことが、破産寸前のキャデラック事業を救ったということですが、これほど、お客様が真に何を求めるか、を知ることは大切なことです。
同じように自動車や電器製品で考えてみると顧客はボルボからは「安全」、プリウスからは「エコロジー」、サムスンからは「高性能低価格(ウォン安を背景にした・・・)」、アップルから「インターネットエンターテイメントの楽しさと可能性」というところでしょうか・・・。
反対に顧客が何を買っているのかがすぐに浮かばない「ソニー」や「パナソニック」が業績がなかなか上がらないのもこのあたりにも影響があるのかもしれません。
それではもう一度質問します。
あなたのお客様はどこにいて、何を買っているのでしょうか?

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