第131号 ブータンの「国民総幸福量(GNH)」に学ぶ
先ごろ、ワンチュク5世が来日されましたが、GNHは、Gross National Happinessで、経済上の豊かさの指標となるGNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)とは異なった価値を示すものです。実は、ワンチュク5世の父であるワンチュク4世が、1976年、まだ21歳の時に世界に向け発表し、ブータン憲法に盛り込まれました。物や量の豊かさではなく、心の豊かさや生活の質の向上に焦点を当てる指標なのです。
今、先進国でも注目されているのです。本当に、売上や利益・株価等を増やすことが、企業にとっても働く者にとっても幸福につながるのか、幸せになれるのか、問われているのです。因みに、ブータンでは、幸福の基準として9項目で表わしてします。(1)精神面の幸福(2)健康(3)教育(4)文化の多様性(5)環境の多様性(6)生活水準(7)地域活力(8)時間の使い方とバランス(9)良き統治
2005年の国民調査では、この9項目の内容に関する回答として、なんと97%の国民が「幸せ」と答えたのです。しかし、本当に恵まれているのでしょうか。国土は、インドと中国に挟まれたヒマラヤの小国で、一人当たりのGDPは日本の数%程度です。経済的には裕福ではないでしょうが、多くの人が「幸せ」という背景には、欲望を否定し、物資的なものを多く求めないチベット仏教の考えがあるのでしょう。そして、「助け合いの精神」も根付いているようです。今、日本でも、内閣府が「幸福度に関する研究会」をつくりました。今後に期待したいものですが、本来の日本の文化にも、助け合いの精神、和の精神があったことを思い出しましょう。そしてまず、我々企業人がお手本を見せるべく、社内に「幸福度」を計る指標をどんどん考え、どんどん取り入れていきたいものです。
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