第139号 オリンピックを支える中小企業の力

皆様、お元気ですか。暑い日が続いておりますが、今最も「あつい」のは、ひょっとすると「ロンドンオリンピック」かもしれませんね。選手もあつい、応援団もあつい、本当にあつい戦いぶりに、感動の連続ですね。そんな中、そのオリンピック競技を支える熱き中小企業、熱き職人たちがいることを忘れないでほしいのです。
たとえば、「バレーボール」用の公式球に採用された「ミカサ」(広島市)は、クラレと共同開発した人口皮革を使用し、表面に粒状の約8000個のくぼみをつけたり、セラミックスの超微細粒子を塗布したりして、選手の汗がついても滑りにくい球を開発しました。そして、球の耐久性や安定性を追求するために、芯となる球状のゴムに糸を均一に巻く機械も自社開発されました。元々は、ゴム製品メーカーであり、現在も船舶用・ポンプ用の工業製品を手がけていますが、1964年東京オリンピックでのバレーボールの採用などを契機に競技用のボール分野に進出しました。今では、なんと売上高の約7割を競技用製品が占めています。やはり、一流には、一流の商品、一流の品質、一流の技術が要求されるのですね。
また、砲丸投げの砲丸は、埼玉県富士見市にある小さな工場が作っており、世界ナンバーワンの呼び声があります。その代表である辻谷工業の辻谷政久氏(79歳)は東京オリンピックを契機に参入し、1996年のアトランタ五輪では、決勝進出の8人全員が辻谷製の砲丸を使用し、初めて表彰台を独占したのです。砲丸は、いかに重心を真ん中にできるかが勝負。通常は、NC旋盤を使用しますが、それでは限界があり、辻谷氏は「自分の手」を信じました。日夜、旧式の旋盤で削り続けました。目と耳に神経を集中させ、職人の勘で作りつづけたのです。一方、ハンマー投げ用は、鉄球の重心を規定内でギリギリまで外側に配置し、遠心力を高めなければなりません。それを提供しているのが、「ニシ・スポーツ」なのです。
紙面の関係で省略しますが、他にもまだまだ、頑張っている中小企業や職人さんがいます。そのことを誇りに、私達も事業を通じて、世界競争に負けないよう日々精進していきましょう。がんばれ、日本! がんばれ、中小企業!

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