第153号 「コバンザメ商法」も中小企業の戦略の一つ

中小企業には金がない、人がいない、技術がないと「ないないづくし」を嘆く経営者もいますが、経営資源は本当にないのでしょうか。仮に社内の経営資源が少なかったとしても、社外の資源はどうでしょうか。いずれにしても、経営資源の「活かし方」を考えるべきでしょう。特に社外の資源を活かす発想、社内の見えない資源を活かす発想をする力を鍛えていただきたいと思います。
今回は、少ない社内資源でありながら、社外の資源をうまく活かして成功している企業、「コバンザメ商法」企業を紹介したいと思います。ちなみにコバンサメ商法とは、
「集客力がある店舗や事業所、観光施設などの近くで商売を行う商法のこと。大型の生物に吸着して移動して身を守りながらおこぼれを狙うコバンザメにちなんでこのように呼ばれている。」(はてなキーワードより抜粋)と説明されます。
前述の企業に、高級ホテル・高級旅館予約サイト「一休.com」や厳選されたレストランの即時予約サービス「一休.comレストラン」等を運営している、株式会社一休(代表取締役社長 森正文氏)が挙げられます。ちなみに、2013年の売上高12億円、経常利益4億円(推定値)で、会員数は300万人を突破しています。皆様も一休.comを利用されているかもしれませんね。
森氏の発想は、「市場のニーズと眠れる資源(ホテルや旅館の空室)を何とか繋げる(埋める)ことはできないか。自社は中小企業であり(創業当時)、大企業のような信頼はない。であれば外部の資源(高級ホテルのブランド、信頼)を活かそう」というものです。
高級ホテルや高級旅館に特化した空室を活かす予約ビジネスで、当初は外資系も含め高級ホテル5社(インターコンチネンタル、ハイアット リージェンシー等)に絞ってアプローチしましたが、成約は難しかったそうです。今までにないビジネスであることや、中小企業ゆえの信頼度の低さがネックでしたが、成約条件をひとつずつクリアしていきました。その条件には、高級ホテルのブランドイメージを落とさないこと、他の高級ホテルが掲載されるのであれば掲載可能とすること、等がありました。
まさに、外部資源であるブランドという信頼を活かしたビジネスで成功したのです。あとは、自社はそれを活かす資源(IT技術)に集中すればいいのです。
皆様、資源は考えようです。ぜひ中小企業ならではの戦略であるコバンザメ商法も視野に入れてみてください。

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