第166号 高齢者が活躍できる企業づくり

■高齢者を積極的に活用する姿勢が大切


日本社会の急速な少子高齢化や年金受給年齢の引き上げなどの社会情勢の影響を受けて、2013年4月施行の改正高年齢者雇用安定法によって、希望者全員の65歳まで雇用を確保する制度を設けることが義務付けられました。
これによって企業は高齢者雇用の対応を迫られたわけですが、「法律で決まっているから」という受け身の姿勢で高齢者を雇用していくのは、誠にもったいない話です。なぜなら、高齢者にモチベーション高く働いてもらうことができれば、高齢者が持つ知恵やノウハウが活かされて、企業に大きなメリットがあります。
しかし、「法律で決まっているから」という雰囲気の中でいかにも厄介者のような扱いを受けたのでは、高齢者のモチベーションが上がらず、せっかくの知恵やノウハウも埋もれてしまいます。高齢者の長年の経験を最大限に発揮してもらうという、積極的な姿勢が求められます。

■高齢者のモチベーションが上がる組織づくり


高齢者がモチベーション高く働けるための環境づくりの基本原則は、「個々の状況に合わせる」ことです。
まず、高齢者雇用で配慮しなければならないのは、高齢者ご本人の「体力面」です。最近はご年配でも元気な方が多いので一概には言えませんが、人間というのは歳とともに体力が衰えていくものです。いくらモチベーションが高くても、若者と同じような働き方はできません。したがって、ご本人の体力や健康面に配慮して、個別的に業務内容や就業時間、休憩、休日などを決定していく必要があります。
また給与面で言うと、高齢者を雇用する時には、在職老齢年金などの公的給付を受給することを前提に給与を決定していることが多いようです。つまり、会社に対する貢献は以前と同じでも、在職老齢年金を受給することで給与額が減額されるということです。
これは公平性を欠く施策です。あくまでも給与というのは、会社への貢献度によって決定されるべきものですから、高齢者のモチベーションを下げないためにも、この原則に立ち返る必要があります。
現実的には、在職老齢年金との関係で、会社と高齢者ご本人の両方にとってメリットのある給与額がありますから、ご本人がきちんと納得できるような話し合いを行ったうえで決めていくべきでしょう。「自動的に減額」ということは避けるべきです。
しかし、あまり特別扱いしすぎるのも、高齢者のモチベーションを低下させます。高齢者に対して、「人事評価も受けなくてよい」「会議にも出なくてよい」「研修も受けなくてよい」というような取扱いは、周りからすると高齢者への配慮のつもりですが、ご本人は疎外感を感じることがあります。会社の一員として一体感を感じることができるような雰囲気づくりも大切です。

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