第173号 「吾輩は、猫である」の例え

皆様、お元気ですか。今、「ネコノミクス」といわれるほどに、猫ブーム、猫人気ですが、今年は、夏目漱石の「吾輩は猫である」の発表からもう110年になります。夏目家に転がりこんできた野良の黒猫がモデルといわれていますが、「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生まれたかとんと見当つかぬ」という書き出し、猫の目で、一人称で語る手法は、私も学生のときに読んで、びっくりしたことを思い出しました。今でも斬新な発想ですね。漱石は、猫に何を託したのでしょうか。皆様ももう一度読み返して、考えてみられてはいかがでしょうか。興味は尽きません。第3者の目、人間以外の目、自分の中の別の目、人と人の間をつなぐ潤滑油の役目。ずばり、癒しの役目でしょうか。
さて、話は変わりますが、2015年6月22日に三毛猫の「たま」が死にました。雌16歳、人間なら80歳相当です。和歌山電鉄、貴志川線貴志駅の「たま駅長」です。貴志川線(和歌山市から紀の川を結ぶ14.3キロ)は、2004年、南海電鉄が赤字などを理由に廃線を発表しましたが、住民団体が存続運動を展開し、2006年に両備グループの岡山電気軌道(岡山市)が運行を引き継いだとき、社長である小嶋光信氏が、2007年1月 駅近くの飼い猫であった三毛猫たまを民営鉄道で初めて駅長に任命したのです。冗談でなく、制帽をかぶり駅を見守る姿が、大人気になりました。動物駅長の先駆けになり、赤字路線の活性化に一役かったのです。その「たま」駅長が亡くなり、6月28日の社内葬には、小嶋社長が葬儀委員長になり、国内外から3000人以上の方々が別れを惜しみました。最後には、「名誉永久駅長」に任命されました。ご冥福をお祈りいたします。「たま神社」も検討されているようですが、もはや、単なる動物、単なる猫ではないですね? 一体、猫に何を託したのでしょうか。猫は、何の象徴だったのでしょうか。
では、我々にとって「猫」の役割は一体何でしょうか。考えてみてください。

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