第195号 社会的知性を高めるために

社会的知性とは、人間関係の対応能力であることをお伝えしてきました。心理学交流分析(TA)では、私たちが本能として持っている3つの能力に偏りがなく、時、場合、場所において現状を見届ける確かな力を養成し、その状況に相応しい意思決定をしていくときの前向きな「心の三位一体」の状態を「自律性」といいます。しかし「自律性を達成する」ことは至難の業ともいえます。従って意識して自己の心構えをトレーニングする努力が必要です。
人間には誰でも集団の中で逞しく生きていくエネルギーを与えられています。それが生存本能として持つ「親密性」の力であり、「人間関係を促進していく能力」であり、人生における成功の第一条件となります。生来の自分らしく、誰とでも好意的に寛大に、心身共にリラックスし、「協調的な人間関係をもてる力」です。親密性が高い人の心は柔軟で、欲求に応じて好奇心を湧き立たせ自在に行動します、意欲的で、興味や関心度が強く、バイタリティーに溢れ、明るくさわやかに自己表現ができます。自分が「やりたいこと」に目的意識が湧き、次の目標達成能力に繋ぎます。
第二の社会的知性を高める条件は、理性的に働く「自発性」の力です。規範性が高く「責任を果たす、約束を守る、使命に徹する」ために緻密な計画を立て、目標達成を前提に多面的な準備をします。親密性と合流し、仲間との調和を図り、設定した目標に果敢にチャレンジし行動します。高い倫理観、道徳観を備えていて努力家です。いつまでに、どのような方法で進捗させるか「やるべきこと」を真剣に考えます。目標を達成するまでの道程は決して容易ではありませんが、一度「やる」と決意した志に熱心に励む力です。
更に社会的知性を磨く第三の条件は、人間にのみ与えられている能力としての「勤勉さ」が”気づき”の力を生み出し成功への決め手となることでしょう。パナソニックの創業者、故、松下幸之助翁の教訓に「成功のトライアングル」という心のサイクルがあります。
物事への始まりは「素直」であること。素直とは、思い込みや偏見で物事に関わるのではなく、現状をあるがままに観察し、利害や感情や知識による先入観に囚われることなく確認する力であり、修正すべきことは自ら率先して、その使命に正しく向かう力を生み出す「私心なき心の実相」と言われています。素直になることで、見えないものが観えてくる。聞こえない相手の心が聴こえてくる。
更に「熱意」が、自分の素直な心を活かして、困難な条件も肯定的に解釈する力となり、寝ても覚めても一事に没頭する熱心さを生み出し、思いもかけない知恵が生まれてくると言われています。
トライアングルの3つ目は「誠実さ」です。決して自他の期待を裏切らない事。規則、約束を守り、公平に真面目に対応することであり、現実を直視して、足りない事があれば「反省」し、次に「何をすべきか、何をしてはいけないか」に「気づき」修正する。人はその心構えと実践で成長していくと言われています。

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